たまにはテクニカルなお話を
当店の焙煎機は2kg釜サイズでして、生豆を一度に2kg投入できるキャパシティ、という仕様になっております。
5kgのものもあれば30kgのものも存在します、2kgというのは小型に相当します。
うちの機械は特に、デジタルな機能が一切ついていないので、考慮すべき部分というのが
・生豆の投入量
・投入時のドラムの温度
・ガス圧
程度のもので、焙煎始まってしまえば投入量、投入するときの温度というのはクリアー
あとはガス圧を調整するのみの単純明快なやり方で日々焙煎しています。本当に他に触れる要素がないので、
「いや~電源いれてガス点火したらできますよぉ~…」とよく言うんですけど、半分くらいホンマの話なのです。
焙煎し始めてあっという間に5年ほど経ちました。すっかりベテラン?中堅じゃないですかね、アスリートで例えたら海外移籍しててもおかしくないキャリアです
始めた頃から、俺はできるぜ~という気持ちでやってまいりましたが
上記のような少ない要素しかないのに、「まだこんな方法があったのか!!」という発見がまだまだあるものです。
最近 特に気にするのが投入量です
一度に1kg入れるのか、1.2kg入れるのか、2.5kg入れるのか 笑
それに対してどれくらいのガスパワーで始めるのか、どれくらいの温度のときに投入するのか…
そうしたら3分経過したときに何℃になってて、さらに何分経過して1ハゼさせて…と逆算もしつつ。
そういう要素たちを銘柄ごとに一定にするように心がけているのですが、そうし始めたのは割と最近の話なのです。
結局 原料のポテンシャルをいかに引き出すかというところに尽きるのですが、
そのためには1kgより1.2kg入れたほうが美味しくなりやすかったり、
1.0kgよりは1.1kgの方が安定したり、ということですね
昔は需要に応じてたくさん入れたりもしてましたが、最近はカチっと決めつけてやってます。
今日からリリースのグアテマラも、長く扱ってきたアンティグア産のものとは全く違った様相で
かなり繊細な火のあて方をするように心がけています。繊細だから量を少なく焙煎するかというと、
1.0kgで焙煎してみたらなんとも輪郭のない味になってしまったので、敢えて1.2kg投入して、あとはガス圧の調整で上手くハメ込みました。
プロファイルで言うとコスタリカに近いですが、全体的にそれより弱火です。
===
以前 1.0kg投入でケニアのFWとアンティグアを超浅煎にしてみたことがありました。
大変美味しくできたのですが、このプロファイルをNEWグアテマラ(ウエウエテナンゴ)でやってみても美味しくならず
おそらく豆が繊細すぎて投入時の強火力に耐えられなかったのでは…と思っているのですが、
やはり複数の銘柄で上手くハマる特定のプロファイルが、何にでもハマるわけではないということですね
ということは、ケニアFWとアンティグアは同じ焙煎の仕方でいいのか…?と言うと、ざっくり同じでいいのだと思います。
自分の中で、こうやって切り分けしていきながら蓄積していきまして、
まず どのくらいの焙煎度合にするのか、
そしてどのような生豆の特徴だから、どのくらいの量入れてどのような火のあて方をしていくのか。
こうやって大体、生豆が届いてから3回以内に、自分の中の引き出しを開け閉めしながら、リリースするときのプロファイルを作成しています。
2回目でキマったときが一番嬉しく、3回やってキマらないと心が折れます笑
とは言っても今週届くサルバドルのロットも、以前取り扱ったことのある銘柄。
早い段階で美味しく仕上げたいところです!