さて1週間程度お店を閉めておりましたが、東ティモールへ産地視察へ行っておりました。
メンバーは3月の台湾と同様の構成です。
産地らしい産地へ行くのは初めてのことでしたが、
大変素晴らしい旅となりました。
なんと言ってもまずは、
台風21号の影響で直前で飛行機変更を余儀なくされ
関空から、福岡や成田空港に各々散り、バリで現地集合する波乱の幕開け
ギリギリまで焙煎して新神戸から東京駅へ行き、かるく一泊して成田から出発
ちなみに帰りは成田→羽田→神戸空港とホッピング、大変でした
早く関空が完全復活しますように。

バリ⇆東ティモールの首都・Diliの便に乗ります、その間僅か2時間弱のフライトです。
ちなみに東ティモールの場所はコチラ

現地とバリでは、Timor-lesteと呼ぶ方がメジャーな呼び方でした。
ポルトガルの支配、インドネシアによる占領から解放された歴史があり、21世紀最初の独立国でもあります。
ただ、国としてお金がないことや政府もゲリラ出身が多いことなど、何かと発展に時間がかかっているのが現状のようです。
観光客は少なく、外国人は皆国連などの政府系組織やNGO団体のスタッフがほとんどでした。
ちなみに上記の理由で農薬を買う余裕がないため、コーヒーに限らず全作物がオーガニックだそう。
造幣局がなく、通貨は米ドルでした。
当店でも2期連続取り扱うレテホホ郡Tunufahi村のコーヒーは、
日本のNGOピースウインズジャパン(以下PWJ)より仕入れています。
今回首都のディリ、産地であるレテホホそれぞれのPWJのオフィスを拠点としながら、ミッションを進めて参りました。
まずはディリにて、到着早々ニュークロップのカッピング

レテホホ郡だけでも10以上のロットが存在します。
翌日以降、訪問してみるロットをこの時に決めました。
カッピング後、すぐにディリからレテホホへ移動します。四駆にて3時間弱かけて、かなり険しい道をガタガタドコドコ夜道を進みます

レテホホのオフィスが既に、1,400m以上の場所にあり
到着する頃にはすっかり肌寒い気候に変わっていました。畑はもっと標高が高くなります。
オフィスの周りにはパーチメントがついたまま袋に詰められたコーヒーの倉庫や、乾燥させるためのビニールハウスがもありました。

食事を済ませて外に出てみたら、月がないことも幸いし、満天すぎる星空を堪能することができました!

リアル天の川‼︎
ここから2日間かけて、農園視察へ繰り出しました。

1日目
拠点から1時間以上かけて、秘境にでも向かうような道無き道をガタガタドコドコ進みます。
(ちなみにディリへ戻る頃にはすっかり悪路に耐性がついてしまいました)
PWJのルールに則り、車中からすれ違う人へ挨拶のお声かけをすることに
おはようは「ボンディア」こんにちはは「ボッタルディ」
本当に皆さん元気良く挨拶してくれて最高でした。子どもたちがかわいい!

まず最初に訪れたのが、なんとTunufahi村です。
いきなりビヨンド取扱の農家さまを訪問、
大黒柱のフェルナンドさんにお会いすることができました。クールなお父さんでございました

かっこ良すぎます
畑の方も案内していただきました。収穫は終わった後で、今年は豊作とのことです。
先祖代々の土地であり、フェルナンドさんは代表として10年目
典型的な家族経営といった様子で、収穫も皆さん自ら行ってられるようでした。
次に、標高1,800m超の村へ入ります
(Tunufahiが1,600m程度)
ここまで来るととにかく景色が素晴らしく、歩く度に絶景で帰りたくなくなってきます。

畑も斜面だらけで慣れない我々は滑ってばかりでしたが、トコトコ歩くだけで不思議と心地よく、自然環境に元気にしてもらえているようでした。
こちらでは食事も作っていただきまして、
味付けはシンプルで、食材然り日本食と大差なく美味しくいただきました。最高でした
輸出規格に満たないコーヒーを手元に置いているようでして、そちらを即席で焼いて砕いて抽出したものも振舞っていただきました。


拠点に戻って、パーチメントのままもらったコーヒーを脱穀
リズムに合わせて歌いながらやってたら、近隣の子どもたちが集まってきて大変な盛り上がりとなりました。

↑器用に篩にかけます
これが終わると夕暮れ時でしたので、近くのクリストレイというキリスト像までドライブ&散歩

まあまあ登ります
風が強くてビビりましたが、絶景の中、日が沈むのを眺めます。良かったぁ〜


2日目
収穫が少し残っているという畑を訪問

こちらでは皆で収穫のお手伝い、さらにパーチメントにするところまで見学させてもらいました。

ディスクパルパーという機械で果肉を剥ぎます
ウェットミルと呼ばれる専用の設備も存在しますが、場所や資金の都合もあるので、レテホホの農家ではディスクパルパー程度の小規模な設備があるかどうか、といった様子です。

キレイですね〜
この日のうちにディリまで戻って、PWJメインオフィスへ
また別のコーヒーが届いていたのでカッピングします。コーヒー漬けです
PWJへインターンでやって来ている大学生がいらっしゃいました。若いのに素晴らしい行動力ですね!
この日は全員でディナーへ繰り出して楽しい時間を過ごしました。

↑途中、大規模なドライミルの見学も
パーチメントの脱殻や、スクリーン選別を行います

3日目
この日はカカオ農園へ、ウシオチョコラトル社主がメインの日となりました
が、生育条件が近いので、なんとカカオと同じくらいロブスタ種も見ることができました。ラッキー

実も残っていた上に、なんと花が咲いているのも残っており
『コーヒーの花はジャスミンの香りがする』と本で読んだことがありますが、本当に完全にジャスミンの強い香りそのものでした。
こちらの区画では大規模なウェットミルも存在しており、輸出業者プロデュースによる管理ならではの環境で、レテホホで見たような小規模農家とは全く別のプロセスと需要の満たし方があるのを目の当たりにしました。

虫にくわれたロブスタの実

4日目 / 最終日
午後の便でバリへ戻るまでに、PWJの運営するカフェを訪問
各社それぞれのために、屋号の入った手織りのお土産をいただきました。最高です!

PWJ駐在代表のエビザワさんには大変お世話になりました。
ナビ無しで道無き道を、ディリからレテホホの山を越え谷を越える圧巻のドラテクとメンタリティは尊敬の念しかありません。引き続きどうぞ宜しくお願い致します!

PWJスタッフと
===
本で読んで知っていたり、今だったらインポーターのSNSを見るだけでも産地の情報は入手できますが、
実際に行ってみて収穫、実機を触って脱穀や水洗の様子を見るのは、予想以上に深いレベルで自分の中にコーヒーを落とし込むことができて、それだけでも行く価値のある旅でした。
一方、開業する前から「コーヒーはやっぱりスペシャルティだぜ」みたいに考えていた部分がありましたが、
様々な理由で品質を上げていき辛い環境にある農園を見て、
昨今の品質至上主義を謳う商社や高品質専門店(それまでの自分)に疑問を持ってしまう考えも生まれ、
改めてグローバル商材・コーヒーの内包する様々な課題に気付きました。
イチ個人店としてできることは本当にちっぽけで知れたものではあるのですが、
事業を進めて関わっていく以上、介入できるように努力し続けならねばならないし、今以上に広く深い視点をもってコーヒーについて考え続けなければならないと思った次第です。

すっかりクセになってしまった東ティモール、毎年行けるようにできればと満場一致で解散。
今回買い付けたロットは、少し先ですが11月に入荷しそうです。
楽しみにお待ちくださいませ!